「ビットコインは売りたくない。でも、少しだけ現金が必要」──そんなときの選択肢として、2026年7月に始まった暗号資産担保ローンが「CRYL(クリル)」です。9月には5万円から借りられる「ライトプラン」も始まり、これまで数百万円単位が中心だった暗号資産担保ローンが、ぐっと身近になりました。
この記事では、CRYLの貸付条件、運営会社、評判を判断するための材料、そして一番大事な「どこまで値下がりしたら追加担保・強制清算になるのか」を、具体的な計算例で解説します。大和証券グループのFintertech(フィンターテック)との違いも表にまとめました。
なお、私自身はCRYLをまだ利用していません。この記事は公式サイトの貸付条件・よくある質問とプレスリリース(2026年11月時点)をもとにまとめたものです。借入れには返済の義務があり、相場次第では担保のビットコインが売却されることもあるため、特定の行動をすすめるものではありません。仕組みとリスクを理解したうえで、慎重に判断してください。
結論:CRYLは「少額・短期で、値下がりに備えられる人」向け
- CRYLはビットコイン(BTC)を担保に日本円を借りられるローン。ライトプランなら5万円〜50万円、スタンダードプランなら51万円〜10億円
- 金利はライトプランが年率7.0%、スタンダードプランが年率3.5%〜7.0%。毎月の返済はなく、1年後に元金と利息をまとめて返す
- 担保の評価額が下がって借入比率(LTV)が70%以上になると追加担保が必要。3営業日以内に入れないと強制清算(売却)される
- 500万円以上のまとまった借入れなら、Fintertechの「デジタルアセット担保ローン」も比較の候補になる
ビットコインの暗号資産担保ローンそのものの仕組み(売却との違い、税金の考え方など)は、こちらの記事でくわしく解説しています。
→ 暗号資産担保ローンとは?ビットコインを売らずに現金を借りる仕組み・金利・リスクを解説
CRYL(クリル)とは?運営会社と特徴
CRYLは、株式会社CRYL(東京都港区)が運営する暗号資産担保ローンです。2025年12月に設立された新しい会社で、2026年4月に貸金業の登録(東京都知事(1)第32065号)を受け、7月9日にサービスを始めました。日本貸金業協会の会員で、信用情報機関はJICC(日本信用情報機構)に加盟しています。
暗号資産レンディング「BitLending(ビットレンディング)」や、Web3専門誌「Iolite(アイオライト)」を運営する株式会社J-CAMのグループ会社で、両社の代表者は同じです。CoinPostのインタビューでは、BitLendingで培った暗号資産の取り扱いノウハウを強みとして挙げています。
サービスの特徴をまとめると、次のとおりです。
- 担保にできるのはビットコイン(BTC)だけ(イーサリアムなどは対象外)
- 担保掛目(担保の評価額に対して借りられる割合)を40%〜60%の間で5%刻みで選べる
- 申込みから契約、借入れまでオンラインで完結。面談や保証人は不要
- 担保のBTCが届いてから最短翌営業日に指定口座へ入金
- 事務手数料はかからない(BTCを送るときのネットワーク手数料や、返済時の振込手数料は自己負担)
CRYLの貸付条件(ライトプラン・スタンダードプラン)
公式サイトに掲載されている貸付条件は次のとおりです(2026年11月時点)。
| 項目 | ライトプラン | スタンダードプラン |
|---|---|---|
| 借りられる金額 | 5万円〜50万円 | 51万円〜10億円 |
| 金利(年率) | 7.0% | 3.5%〜7.0% |
| 収入証明 | 原則不要(※) | 必要 |
| 申込みできる人 | 個人・個人事業主(事業資金は不可) | 個人・個人事業主・法人 |
| 担保掛目 | 40%〜60%(5%刻み) | 40%〜60%(5%刻み) |
| 担保にできる暗号資産 | BTC | BTC |
| 返済方法 | 元利一括返済(借入日の翌日から30日経過後は繰上返済可) | 元利一括返済 |
| 返済期間 | 1年(ロールオーバー=延長が可能) | 1年(ロールオーバーが可能) |
| 遅延損害金 | 年率20.0% | 年率20.0% |
| 保証人 | 不要 | 不要 |
※ライトプランでも、他社を含めた借入残高が100万円を超える場合や、18〜19歳の場合は収入証明が必要です。どちらのプランも、申込みできるのは18歳以上70歳未満で、毎月安定した収入がある日本在住の方です(アルバイト・パート・自営業も可)。
なお、9月16日〜10月31日には「初回借入れから最大30日間無利息」のキャンペーンが行われていました。現在は終了しているので、新しいキャンペーンがあるかは公式サイトで確認してください。
CRYLの評判は?判断材料になるポイント
CRYLはサービス開始が2026年7月とまだ新しく、利用者の口コミや評判はほとんど見当たりません。そこで、公開されている情報から「評価できる点」と「気をつけたい点」を整理しました。
評価できる点
- 貸金業の登録を受けた国内の事業者で、貸金業協会にも加入している(海外の無登録業者とは違い、日本の法律にもとづいて貸し付けている)
- 5万円から借りられる。Fintertechは原則500万円以上なので、少額で使える国内の暗号資産担保ローンは貴重
- 担保掛目を40%まで下げられるので、値下がりへの余裕を自分で調整できる
- 追加担保の判定に「毎日午前9時の価格の3日間平均」を使うため、一時的な急落だけですぐ判定されにくい
- 事務手数料がかからない
気をつけたい点
- 会社の設立が2025年12月と新しく、運営実績が短い
- 担保はBTCだけで、預けたBTCはすべての返済が終わるまで一部だけ引き出すこともできない
- 追加の借入れをすると、同じBTCの担保は「合算担保」としてまとめて管理される。どれか一つの借入れで値下がりした場合も、全体が追加担保・強制清算の対象になる
- いったん追加担保の案内が来ると、その後に価格が戻っても追加担保が必要なまま
- ライトプランの金利(年率7.0%)は、スタンダードプランの下限(3.5%)やFintertechの下限(4.0%)より高め
とくに会社の新しさは、評判を判断するうえで外せないポイントです。担保のBTCを預ける以上、運営会社の信頼性は利用者にとって大きなリスク要因になります。少額から試す、借りすぎない、といった形でリスクを抑えるのが現実的だと思います。
いくら下がったら危ない?追加担保・強制清算のライン
暗号資産担保ローンで一番大事なのは、「ビットコインがどこまで下がったら追加担保が必要になるか」を、借りる前に計算しておくことです。
CRYLでは、借入額を担保の評価額で割った「借入比率(LTV)」が70%以上になると、追加担保(BTCの追加送付)を求められます。LTVが70%以上になった翌営業日を1営業日目として、3営業日目の23時59分までに追加担保が確認できないと、担保のBTCが強制清算(売却)され、その代金が返済にあてられます。
たとえば、評価額100万円分のBTCを担保に預けた場合、選んだ担保掛目ごとの「追加担保が必要になるライン」は次のとおりです。
| 担保掛目 | 借入額 | LTVが70%になる担保の評価額 | そこまでの値下がり幅 |
|---|---|---|---|
| 40% | 40万円 | 約57.1万円 | 約43%下落 |
| 50% | 50万円 | 約71.4万円 | 約29%下落 |
| 60% | 60万円(※) | 約85.7万円 | 約14%下落 |
掛目60%だと、約14%の値下がりで追加担保が必要になります。ビットコインは1か月で10〜20%以上動くことも珍しくないので、上限いっぱいまで借りるのはかなり危うい選び方です。最初は40%前後の低い掛目にして、手元に追加で送れるBTCや現金の余裕を残しておくのが安全だと思います。
なお、強制清算はビットコインを売却するのと同じなので、そのときに利益が出ていれば税金(雑所得)がかかる可能性があります。税務の扱いは個別の状況で変わるため、税理士や税務署に確認してください。
利息はいくら?返済のシミュレーション
CRYLは毎月の返済がなく、1年後の期日に元金と利息をまとめて返す「元利一括返済」です。単純計算すると、利息の目安は次のとおりです(実際の金額は借入日数などで変わるので、公式サイトの返済シミュレーションで確認してください)。
| 借入額 | 金利(年率) | 1年間の利息の目安 | 期日に返す金額の目安 |
|---|---|---|---|
| 10万円(ライト) | 7.0% | 約7,000円 | 約10.7万円 |
| 50万円(ライト) | 7.0% | 約35,000円 | 約53.5万円 |
| 100万円(スタンダード) | 3.5%〜7.0% | 約35,000円〜70,000円 | 約103.5万円〜107万円 |
毎月払わなくてよい分、期日に返すお金のあてがないまま借りてしまうのが一番危険です。返済が遅れると年率20.0%の遅延損害金がかかります。ライトプランは借入日の翌日から30日を過ぎれば繰上返済できるので、「ボーナスが入るまでのつなぎ」など、返すお金の見通しが立っている使い方が向いています。
CRYLとFintertech(デジタルアセット担保ローン)の違い
国内のもう一つの代表的な暗号資産担保ローンが、大和証券グループ本社(80%)とクレディセゾン(20%)が出資するFintertechの「デジタルアセット担保ローン」です。主な違いを表にしました(どちらも2026年11月時点の公式サイトより)。
| 項目 | CRYL | Fintertech |
|---|---|---|
| 運営会社 | 株式会社CRYL(J-CAMグループ、2025年設立) | Fintertech株式会社(大和証券グループ本社・クレディセゾンが出資) |
| 担保にできる暗号資産 | BTC | BTC・ETH |
| 借りられる金額 | 5万円〜10億円 | 原則500万円以上〜5億円 |
| 金利(年率) | 3.5%〜7.0%(ライトは7.0%) | 実質年率4.0%〜8.0% |
| 担保掛目 | 40%〜60%から選べる | 50% |
| 追加担保・担保処分の目安 | LTV70%以上で追加担保。3営業日以内に入れないと強制清算 | 担保率150%・140%・120%で追加検討のメール。120%までは担保処分なし |
| 返済 | 元利一括(1年、延長可) | 元利一括(1年、更新可) |
ざっくり言うと、500万円未満の借入れならCRYL、500万円以上のまとまった借入れなら運営母体の大きいFintertechも比較する、という使い分けになります。Fintertechはイーサリアムも担保にできるので、ETHを多く持っている方にも選択肢になります。
Fintertechの担保ローンの条件や仕組みは、公式サイトで確認できます。
▼デジタルアセット担保ローンの公式サイトはこちら
デジタルアセット担保ローン(ビットコイン/ETH)
CRYLの申し込みの流れ
- 公式サイトで会員登録し、ライトプランかスタンダードプランを選ぶ
- 本人確認書類など、プランに応じた書類を提出する(スタンダードプランは収入証明も必要)
- 審査のあと、電子契約で契約する
- 指定されたアドレスに、担保のBTCを送る
- BTCの着金が確認されたあと、指定の銀行口座に入金される(最短翌営業日)
取引所からBTCを送るときはトラベルルールに注意
担保のBTCは、コインチェックやビットバンクなどの取引所から送ることになります。このとき、送金先の情報(トラベルルール)の入力が必要です。CRYLのよくある質問によると、送付先は「暗号資産交換業者」ではなく「プライベートウォレット」、サービス名は「その他(CRYL)」を選ぶ必要があり、交換業者を選ぶと正しく送金できないとのことです。
また、アドレスの所有者で「お客様本人以外」を選ぶと、取引所によっては送金がキャンセルされることがあり、その場合は「お客様本人」に変えて送り直すよう案内されています。入力内容はCRYLのマイページ「担保送付先」で確認できるので、送る前に必ず見ておきましょう。トラベルルールで送金が止まったときの対処法は、こちらの記事にまとめています。
→ トラベルルールで仮想通貨が送金できない!コインチェック・ビットバンクの対処法と送金先の確認方法
CRYLが向いている人・向いていない人
向いている人
- ビットコインを長期で持ち続けたいが、数万円〜数十万円の現金が一時的に必要な人
- 1年以内に返すお金のあて(ボーナス・入金予定など)がある人
- 値下がりしたときに追加で送れるBTCや現金の余裕がある人
向いていない人
- 返済のあてがなく、生活費の不足を補うために借りようとしている人
- 持っているBTCが少なく、上限いっぱい(掛目60%)でしか必要額に届かない人
- 歩いて稼ぐアプリなどで少しずつ貯めたBTCしかない人(ライトプランの最低5万円を掛目50%で借りるには、10万円分のBTCが必要)
「そもそも借りずに、持っているBTCで少し利息を得たい」という方は、担保ローンではなくレンディング(暗号資産を貸して利息を受け取る方法)が合っているかもしれません。
- ビットコインの長期保有(ガチホ)で増やす方法は?積立・レンディング・ステーキングを解説
- 仮想通貨のレンディングを4社比較!コインチェック・ビットバンク・ビットフライヤー・GMOコインの違い
- PBRレンディング(PBR LENDING)は怪しい?年利10〜12%の仕組み・リスク・始め方
まとめ:借りる前に「追加担保のライン」と「返すお金」を決めておく
- CRYL(クリル)は、BTCを担保に5万円から借りられる国内の暗号資産担保ローン(貸金業登録あり)
- ライトプランは5万〜50万円・年率7.0%、スタンダードプランは51万円〜・年率3.5〜7.0%。返済は1年後の一括
- LTVが70%以上になると追加担保が必要で、3営業日以内に入れないと強制清算される。掛目60%なら約14%の下落で到達する
- 会社の設立が新しく口コミも少ないので、低い掛目・少額から慎重に
- 500万円以上のまとまった借入れなら、Fintertechの「デジタルアセット担保ローン」も比較する
ビットコインを手放さずに現金を用意できるのは大きなメリットですが、借金であることに変わりはありません。「どこまで下がったら追加担保が必要か」「1年後に返すお金はどこから出すか」の2つを決めてから、申し込みを検討してください。
▼デジタルアセット担保ローンの公式サイトはこちら
デジタルアセット担保ローン(ビットコイン/ETH)