「仮想通貨の利益が20万円以下なら、税金の申告はいらない」と聞いたことがある方は多いと思います。ところが、これは所得税の確定申告だけの話で、住民税には当てはまりません。
この記事では、会社員の方が仮想通貨(暗号資産)で少しだけ利益が出たときに、住民税の申告が必要になる理由と、その申告のやり方、うっかり見落としやすいポイントをまとめます。
なお、歩いて稼ぐアプリなどで受け取ったビットコインにどんなタイミングで税金がかかるのかは、歩いて稼ぐアプリで貯めたビットコインに税金はかかる?で解説しています。この記事では、その先の「住民税の申告」に絞ってお話しします。
結論:20万円以下でも住民税の申告は必要
結論から言うと、会社員で仮想通貨の利益が年20万円以下なら、所得税の確定申告はしなくてよい場合が多い一方、住民税の申告は必要です。
| 所得税 | 住民税 | |
|---|---|---|
| 申告先 | 税務署(確定申告) | お住まいの市区町村(住民税の申告) |
| 20万円以下の場合 | 条件を満たせば申告不要 | 申告が必要 |
| 期限の目安 | 翌年2月16日〜3月15日 | 翌年3月15日ごろ(市区町村による) |
住民税の申告を忘れると、本来払うべき住民税が計算されないままになります。後から指摘されると、さかのぼって払うことになるので、少額でも申告しておくのが安心です。
「20万円ルール」のおさらい
所得税の20万円ルールは、次の条件をすべて満たす会社員に当てはまります。
- 給与を1か所の会社から受け取っていて、年末調整を受けている
- 給与以外の所得(仮想通貨の利益、副業の所得などの合計)が年20万円以下
- 医療費控除やふるさと納税(6自治体以上など)のために、確定申告をする予定がない
ここでいう「20万円」は、売った金額ではなく利益(所得)のことです。売った金額から、買ったときの金額(取得費)や手数料などを引いた残りが所得になります。
また、仮想通貨で利益が出るのは「日本円に換えたとき」だけではありません。仮想通貨どうしの交換や、仮想通貨で買い物をしたとき、ステーキングやポイ活アプリで仮想通貨を受け取ったときも、所得になる場合があります。仮想通貨の利益は「雑所得」に分類され、副業の雑所得などと合算して20万円以下かどうかを判断します。
住民税の申告のやり方
確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村に「住民税の申告」をします。流れは次のとおりです。
- 1年間(1〜12月)の仮想通貨の利益を計算する:取引所の年間取引報告書や、損益計算ツールを使います。
- 市区町村の住民税申告書を用意する:その年の1月1日時点で住んでいる市区町村のものを使います。多くの自治体でホームページからダウンロードでき、窓口でももらえます。
- 申告書に記入する:勤務先の源泉徴収票の内容と、仮想通貨の所得を「雑所得(その他)」として記入します。
- 市区町村に提出する:窓口への持参か郵送が一般的です。期限は例年3月15日ごろですが、市区町村によって違うので確認してください。
申告書の書き方や、オンラインで申告できるかどうかは自治体によって違います。わからない場合は、市区町村の住民税の担当窓口に問い合わせると、ていねいに教えてもらえます。
見落としやすい3つのポイント
1. 確定申告をするなら、20万円以下でも一緒に申告する
医療費控除や住宅ローン控除(1年目)などのために確定申告をする場合は、20万円ルールは使えません。仮想通貨の利益が20万円以下でも、確定申告にすべての所得を含める必要があります。確定申告をすれば、その内容が市区町村にも伝わるので、住民税の申告を別に出す必要はありません。
2. 住民税の申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例が使えなくなる
ふるさと納税で「ワンストップ特例」を申請している方は注意が必要です。確定申告や住民税の申告をすると、ワンストップ特例は無効になります。
その場合は、住民税の申告書(または確定申告書)に、ふるさと納税の寄附金もあわせて記入しましょう。寄附金の受領証明書が必要になるので、なくさないように保管しておくことが大切です。
3. 仮想通貨の損失は、給与などと相殺できない
仮想通貨で損をした場合、その損失は給与所得など他の所得と差し引きできません。また、損失を翌年に繰り越すこともできません(2026年9月時点)。同じ年の雑所得の中でしか相殺できない点に気をつけましょう。
なお、暗号資産の税金は、2028年ごろから株式などと同じ20%の分離課税に変わる見込みです。詳しくは暗号資産はNISAで買える?対象外の理由と2028年からの税制改正で解説しています。
住民税の申告で会社に知られる?
会社員の住民税は、ふつう給与から天引き(特別徴収)されています。仮想通貨の所得を申告すると住民税の額が増えるため、その金額から「給与以外の所得がある」と会社に伝わる可能性があります。
これを避けたい場合は、申告書で給与以外の所得分の住民税を「自分で納付(普通徴収)」にする欄を選ぶ方法があります。確定申告書なら第二表の住民税に関する欄、住民税の申告書なら納付方法を選ぶ欄で選択します。
ただし、普通徴収を選べるかどうかや、その扱いは市区町村によって違います。希望どおりに処理されないこともあるので、心配な方は申告のときに市区町村の窓口で確認しておくと安心です。そもそも副業や投資に関する会社のルール(就業規則)も、あわせて確認しておきましょう。
利益の計算は損益計算ツールを使うとラク
住民税の申告でも確定申告でも、まず必要になるのが1年間の利益の計算です。複数の取引所を使っていたり、仮想通貨どうしの交換をしていたりすると、手計算はかなり大変です。
そこで便利なのが、取引履歴を読み込むだけで損益を計算してくれる損益計算ツールです。私も、暗号資産の損益計算には専用のツールを使うのがいちばん確実だと考えています。代表的なツール「クリプタクト」の使い方は、クリプタクトの使い方を解説!で詳しく紹介しています。ツールの選び方は暗号資産の確定申告ツールはどう選ぶ?もあわせてご覧ください。
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Cryptact
まとめ
- 会社員で仮想通貨の利益が年20万円以下なら、所得税の確定申告は不要なことが多い
- ただし住民税には20万円ルールがなく、市区町村への住民税の申告が必要
- 医療費控除などで確定申告をするなら、20万円以下の利益も含めて申告する
- 住民税の申告や確定申告をすると、ふるさと納税のワンストップ特例は無効になる
- 会社に知られたくない場合は普通徴収を選べることがあるが、扱いは市区町村に確認を
少額の利益だと「これくらいならいいか」と思ってしまいがちですが、住民税の申告は難しい手続きではありません。年が明けたら、まずは1年間の利益を計算するところから始めてみてください。
※本記事は2026年9月末時点の制度をもとに、一般的な内容をまとめたものです。個別の状況によって必要な手続きは異なるため、具体的な申告方法はお住まいの市区町村、税務署、または税理士にご確認ください。