「JPYC」という日本円建てのステーブルコインの名前を、ニュースやSNSで見かける機会が増えてきました。コインチェックが2026年8月に「電子決済手段等取引業」への登録を完了したこともあり、「JPYCってコインチェックで買えるの?」と気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、2026年9月時点では、コインチェック・ビットバンク・ビットフライヤー・GMOコインといった国内の暗号資産取引所でJPYCを直接購入することはできません。この記事では、その理由と、実際にJPYCを手に入れるための正しい買い方、利用時の注意点をわかりやすく解説します。なお、暗号資産をめぐる制度は送金ルールの変更なども含めて動きが早い分野ですので、あわせてチェックしておくと安心です。
JPYCとは?暗号資産ではなく「電子決済手段」
JPYCは、日本円と1対1で価値が連動するように設計された、日本円建てのステーブルコインです。1JPYC=1円として、価格がほとんど変動しないことが特徴です。発行しているのはJPYC株式会社で、2025年8月に資金移動業のライセンスを取得し、2025年10月27日から国内の資金移動業者として初めて日本円ステーブルコインの発行を開始しました。
ここで押さえておきたいのが、JPYCは法律上「暗号資産」ではなく、資金決済法上の「電子決済手段」に分類されているという点です。ビットコインやイーサリアムのような暗号資産は価格が大きく変動する投資対象として扱われるのに対し、JPYCは日本円の価値をそのままデジタル化して送金・決済に使うための手段という位置づけになります。この分類の違いが、後述する「取引所で買えない理由」に直結しています。
なぜコインチェック・ビットバンクなどで買えないのか
コインチェック・ビットバンク・ビットフライヤー・GMOコインといった国内の暗号資産取引所は、いずれも「暗号資産交換業」の登録を受けて営業しています。しかし、JPYCのような電子決済手段を取り扱うには、暗号資産交換業とは別の「電子決済手段等取引業」という登録が必要です。つまり、現時点でこれらの取引所が持っているライセンスの範囲では、JPYCを取り扱うことができないのです。
一部のサイトで「取引所でJPYCが買える」という案内を見かけることがありますが、これは送金の際に必要なガス代用の暗号資産(イーサリアムなど)を指している場合がほとんどで、JPYC本体を取引所で購入できるという意味ではありません。誤解しないよう注意してください。
今後、コインチェックなどでJPYCが買えるようになる可能性は?
2026年8月27日、コインチェックは国内2社目となる「電子決済手段等取引業」の登録を完了したというニュースが話題になりました(詳しくはこちらの記事で解説しています)。この登録は、米ドル建てステーブルコインのUSDC(Circle社発行)の取り扱いに向けた準備が主な目的とみられており、コインチェック側からJPYCの取り扱いを予定しているという発表は、2026年9月時点ではまだ出ていません。
ただし、電子決済手段等取引業のライセンス自体は、USDCのような海外発行のステーブルコインに限らず、JPYCのような国内発行の電子決済手段も対象に含まれる制度です。つまり、コインチェックが今回取得したライセンスの「土台」自体は、将来的にJPYCの取り扱いにもつながりうるものと言えます。現状ではあくまで可能性の話であり、確定した情報ではない点はご留意ください。
JPYCの正しい買い方(JPYC EXでの発行手順)
現在、JPYCを手に入れるには、発行元であるJPYC株式会社が運営する公式プラットフォーム「JPYC EX」を利用する必要があります。手順は次のとおりです。
- JPYC EXでアカウント登録:メールアドレスなどで会員登録を行います。
- 本人確認(eKYC):マイナンバーカードのICチップを使ったオンライン本人確認を行います。写真撮影のみでの本人確認には対応していないため、マイナンバーカードの用意が必要です。
- 基本情報の入力:職業や投資経験などの簡単な質問に回答します。
- Web3ウォレットの準備:MetaMaskなど、JPYCを受け取るためのWeb3ウォレットを事前に用意しておきます。あわせて、送金時のガス代となる暗号資産(後述するチェーンに応じてETH・POL・AVAXなど)も別途用意しておく必要があります。
- 銀行振込で発行を申請:指定された口座に日本円を振り込むと、当日中(早ければ数分〜数十分程度)にウォレットへJPYCが発行されます。
最低発行額は1回3,000円からで、発行・送金・償還(JPYCを日本円に戻すこと)の手数料はいずれも無料です。ウォレットの準備や本人確認のハードルはあるものの、費用面では利用しやすい設計になっています。
発行上限額と対応チェーンの選び方
JPYCの発行には上限額が設けられています。もともとは「1日あたり100万円」という制限でしたが、2026年5月15日のアップデートで「1回あたり100万円」に緩和され、1日に複数回に分けて申請できるようになりました。ただし、不正利用防止の観点から、短時間での連続した申請には引き続き制限がかかる点は理解しておきましょう。
JPYCはEthereum・Polygon・Avalanche・Kaiaの4つのブロックチェーンに対応しています。それぞれ次のような特徴があるため、用途に応じて選ぶとよいでしょう。
- Avalanche:発行スピードが速く、ガス代も安いため、初めてJPYCを使う方におすすめです。
- Polygon:対応している決済サービスやアプリが最も豊富なチェーンです。
- Kaia:LINE関連のアプリ内でJPYCを利用したい場合に選びます。
- Ethereum:海外のDeFi(分散型金融)サービスと連携したい場合に向いています。
JPYCを利用する際の注意点
JPYCは日本円と価値が連動するように設計されているとはいえ、利用にあたっていくつか注意しておきたい点があります。
まず、JPYCはノンカストディ型(自分のウォレットで自分の秘密鍵を管理する方式)のため、ウォレットの秘密鍵やパスフレーズを紛失してしまうと、JPYCを取り戻せなくなるおそれがあります。銀行預金のような「忘れても窓口で本人確認すれば復旧できる」という仕組みではない点は、暗号資産に不慣れな方ほど意識しておく必要があります。
また、発行体であるJPYC株式会社は金融庁に登録された資金移動業者ですが、だからといって元本や価値が完全に保証されているわけではありません。極めてまれなケースではあるものの、市場の混乱時などに1円からわずかに価格が乖離する「ペッグ割れ」が起こる可能性もゼロではないとされています。
そのほか、1回あたり100万円という上限があるため、大きな金額をまとめて決済したい場合には不向きな側面もあります。JPYCは「値上がり益を狙う投資商品」ではなく、「安定した価値のまま送金・決済に使う手段」として利用するのが向いている、と理解しておくとよいでしょう。
よくある質問
Q. JPYCは暗号資産取引所の口座がなくても買えますか?
A. はい。JPYCの購入(発行)に暗号資産取引所の口座は不要です。JPYC株式会社が運営する「JPYC EX」で直接アカウント登録・本人確認を行い、銀行振込で発行を申請する形になります。ただし、受け取り用のWeb3ウォレットは別途必要です。
Q. マイナンバーカードがないとJPYCは買えませんか?
A. 2026年9月時点のJPYC EXの本人確認は、マイナンバーカードのICチップを使ったオンライン本人確認が基本となっています。マイナンバーカードをお持ちでない場合は、事前に取得しておく必要があります。
Q. 今後、コインチェックなど国内の暗号資産取引所でJPYCが買えるようになりますか?
A. 2026年9月時点では、コインチェックを含めどの取引所からもJPYCの取り扱い予定は発表されていません。ただし、コインチェックが電子決済手段等取引業のライセンスを取得したことで、制度上は将来的にJPYCのような国内発行の電子決済手段を取り扱う土台ができています。今後の発表に注目しておきたいところです。
まとめ
JPYCは、日本円と1対1で連動する国内初の円建てステーブルコインで、法律上は暗号資産ではなく「電子決済手段」に分類されます。この分類の違いから、2026年9月時点ではコインチェック・ビットバンク・ビットフライヤー・GMOコインといった暗号資産取引所での直接購入はできず、公式サービスの「JPYC EX」を通じて、本人確認と銀行振込によって発行を受ける必要があります。
コインチェックが電子決済手段等取引業のライセンスを取得したことで、USDCを皮切りに、今後こうしたステーブルコインを国内の取引所で扱いやすくなる環境が整いつつあります。JPYCがいつ・どの取引所で取り扱われるかはまだ未定ですが、動きがあった際にすぐに対応できるよう、コインチェックなどの口座開設を済ませておくのも一つの備え方かもしれません。
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電子決済手段をめぐる制度は動きの早い分野ですので、今後も続報があり次第、この記事を更新していきます。