暗号資産(仮想通貨)を取引所に預けるとき、「もしハッキングされたら資産はどうなるんだろう」と不安になったことはありませんか。私も暗号資産を始めた当初、ニュースで流出事件を見るたびに、自分が使っている取引所は大丈夫なのかと気になっていました。
この記事では、コインチェック・ビットバンク・ビットフライヤーの3社について、セキュリティ対策の具体的な中身を比較していきます。手数料や取扱銘柄の比較記事はこれまでにも書いてきましたが、今回は「資産を安全に預けられるか」という視点に絞って解説します。
暗号資産取引所に義務付けられているセキュリティ対策とは
比較の前に、まず知っておきたい前提があります。実は、暗号資産取引所のセキュリティ対策は、事業者の努力だけに任されているわけではなく、法律(資金決済法)によって最低限のルールが定められています。
2020年に施行された改正資金決済法では、暗号資産交換業者(取引所)に対して、利用者から預かった暗号資産を原則として「コールドウォレット」で管理することが義務付けられました。コールドウォレットとは、インターネットに一度も接続されたことのない端末で暗号資産を保管する方法のことで、外部からハッキングされるリスクを大幅に下げられる仕組みです。
とはいえ、送金や取引をスムーズに行うためには、ネットに接続された「ホットウォレット」も一定量は必要です。そこで金融庁のガイドラインでは、ホットウォレットで管理できる暗号資産の割合を原則5%以下に制限しています。さらに、ホットウォレットで管理している分と同じ種類・同じ量の暗号資産を、あらかじめコールドウォレット側にも別途確保しておく「履行保証暗号資産」という仕組みも義務化されました。万が一取引所が破綻した場合には、利用者の暗号資産返還請求権が他の債権者よりも優先して弁済される「優先弁済権」も認められています。
つまり、今回比較する3社はいずれもこの法律上の最低ラインはクリアしている、という前提のうえで、各社が自主的にどこまで上乗せの対策を行っているかを見ていきたいと思います。
コインチェックのセキュリティ対策
コインチェックは、コールドウォレットでの資産保管に加えて、秘密鍵を複数用意して認証する「マルチシグ(マルチシグネチャ)」という仕組みを採用しています。1つの鍵が盗まれただけでは送金できない構造になっているため、内部・外部どちらの不正にも強くなる対策です。ログイン時には、スマートフォンにその都度発行されるワンタイムパスワードによる二段階認証も必須になっています。通信はSSLで暗号化されており、法定通貨・暗号資産ともに会社の資産とは分けて管理する「分別管理」も行われています。また、コインチェックはマネックスグループの傘下にあり、社外取締役を中心とした監督体制が整えられている点も特徴です。
正直にお伝えすると、コインチェックには2018年1月26日に約5億2,300万枚のNEM(XEM)が不正に流出するという事件がありました。当時のレートで換算すると463億円を超える規模の被害でしたが、コインチェックはこの全額を、外部からの資金調達に頼らず自己資金で日本円に換算して利用者に返金しています。この事件をきっかけに、上記のようなセキュリティ体制の抜本的な見直しが行われた経緯があり、いまの体制は当時の教訓のうえに築かれたものだと言えます。
ビットバンクのセキュリティ対策
ビットバンクは、コールドウォレットを「完全なオフライン環境」で管理し、すべてのコールドウォレットでマルチシグを採用しています。複数人の電子署名がなければ送金できない仕組みのため、1人の担当者だけで資産が動かせないようになっています。ネットに接続する必要があるホットウォレットについても、鍵を物理的・仮想的に分散して管理する体制を取っています。
第三者認証の面では、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC 27001:2022」を取得済みです(認証番号:JP025751)。情報の機密性・完全性・可用性を守るための管理体制が、外部機関によって審査・認証されているということになります。
ビットバンクは創業以来、外部からのハッキングによる資産流出の被害が公表されていないという実績もあります。もちろん「過去に被害がない」ことが将来の安全を保証するものではありませんが、セキュリティ体制を評価するうえでの一つの材料にはなると思います。
ビットフライヤーのセキュリティ対策
ビットフライヤーは、預かっている暗号資産の約100%をコールドウォレットで保管し、ホットウォレットで運用するのは必要最小限にとどめているとしています。マルチシグによる複数署名の確認体制も導入済みです。
アカウント面のセキュリティも手厚く、パスワードは9文字以上かつ4種類の文字種のうち2種類以上を組み合わせることが必須で、ログイン時にはパスワードに加えて時間の経過とともに変化する認証コードを組み合わせた多要素認証が採用されています。パスワードを一定回数間違えるとアカウントが自動的にロックされる機能や、送受信されるデータ全件のウイルススキャン、フィッシングメール・フィッシングサイトへの対策も行われています。顧客の資産と会社の資産を明確に分ける分別管理も実施済みです。
なお、ビットフライヤー自身が大規模なハッキング被害を受けたという公表情報は見当たりませんでした。2024年の他社(DMM Bitcoin)のビットコイン不正流出や、2025年の海外取引所Bybitのハッキング報道の際には、自社の対応状況について利用者向けに説明資料を公開しており、業界内の事件が起きるたびに自社の安全性を発信する姿勢がうかがえます。
3社のセキュリティ対策を比較
ここまでの内容を表にまとめました。
| 比較項目 | コインチェック | ビットバンク | ビットフライヤー |
|---|---|---|---|
| コールドウォレット | 採用(ネットから完全に隔絶) | 採用(完全オフライン環境) | 採用(資産の約100%) |
| マルチシグ | 採用 | 採用(全コールドウォレットで導入) | 採用 |
| ログイン時の認証 | 二段階認証(都度発行のワンタイムパスワード) | 記載なし(要問い合わせ) | 多要素認証(パスワード+時間変化型コード) |
| 第三者認証の取得 | 記載なし | ISO/IEC 27001:2022取得済み | 記載なし |
| 資産の分別管理 | 実施 | 記載なし(法律上の義務として実施) | 実施 |
| 過去の大規模流出事件 | あり(2018年、自己資金で全額補償済み) | 公表情報なし | 公表情報なし |
| 運営元 | マネックスグループ傘下 | ビットバンク株式会社 | 株式会社bitFlyer |
※各社とも公式サイトで公開されている情報をもとに作成しています。セキュリティの詳細はセキュリティ上の理由から非公開の部分も多く、対策内容は今後変更される可能性もあります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。
まとめ:セキュリティで取引所を選ぶときのポイント
今回比較した3社は、いずれも法律で義務付けられたコールドウォレット管理や履行保証暗号資産のルールを満たしたうえで、マルチシグや二段階認証・多要素認証といった対策を独自に上乗せしています。そのため「この1社だけが極端に危ない」ということはなく、どこを選んでも一定の安全基準はクリアしていると考えてよいでしょう。
そのうえで違いを挙げるとすれば、ビットバンクはISO/IEC 27001という第三者認証を取得している点、ビットフライヤーは資産のほぼ全量をコールドウォレットで管理しアカウント認証も手厚い点、コインチェックは過去の流出事件を経て自己資金による全額補償を実行した実績とその後の体制強化が特徴、というところでしょうか。
手数料や取扱銘柄の違いも含めて比較したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
▼コインチェックの口座開設はこちら
▼ビットバンクの口座開設はこちら
▼ビットフライヤーの口座開設はこちら
ビットフライヤーの口座開設はこちら(招待コード: adh42lyq)
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※本記事は2026年9月時点の公開情報をもとに作成しています。セキュリティ体制は変更されることがあるため、最新情報は各社の公式サイトでご確認ください。