もしご家族が暗号資産(仮想通貨)を保有したまま亡くなってしまったら、残されたご家族はどうやってその資産を受け継げばいいのか、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
株式や預金と違って、暗号資産は「取引所の口座の中にある」という特殊な財産です。相続の手続きも、銀行や証券会社とは少し違う流れで進みます。
この記事では、コインチェック・ビットバンク・ビットフライヤーという国内大手3社の公式情報をもとに、相続手続きの窓口対応がどう違うのかを比較しながら、初心者の方にもわかりやすく解説します。なお、相続税の具体的な計算や申告については、必ず税理士など専門家にご相談ください。この記事はあくまで「取引所での手続きの流れ」を知っていただくためのものです。
暗号資産も相続財産の対象になる
暗号資産は法律上「財産的価値のあるもの」とされているため、預金や株式と同じように相続財産に含まれます。亡くなった方(被相続人)が取引所の口座に暗号資産を保有していた場合、相続人はその口座内の資産を引き継ぐ手続きを行う必要があります。
相続税を計算する際には、亡くなった日(相続開始日)の時価で評価するのが基本的な考え方です。ただし、暗号資産は価格変動が大きく、評価方法や税額の計算は複雑になりがちです。具体的な評価額や納税額については、この記事では扱いきれないため、税理士に相談することをおすすめします。
ここから先は、実際に相続が発生したときに「取引所でどんな手続きが必要になるのか」を中心に見ていきます。
コインチェック・ビットバンク・ビットフライヤーの相続手続きを比較
3社とも、電話ではなく問い合わせフォームから相続の連絡をする点は共通しています。一方で、必要書類の案内方法や処理にかかる期間には違いが見られました。
| 項目 | コインチェック | ビットバンク | ビットフライヤー |
|---|---|---|---|
| 連絡方法 | 問い合わせフォーム(「相続手続き」を選択) | 問い合わせフォーム(「相続等に関するご質問」を選択) | 問い合わせフォーム(電話受付なし) |
| 必要書類の案内 | 遺言書の有無に応じた書類をあらかじめ案内 | フォーム連絡後、担当部署からメールで個別に案内 | フォームに被相続人・代表相続人の情報を記入して提出 |
| 主な必要書類(例) | 相続届(コインチェック所定)、被相続人の出生から死亡までの連続戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書(発行後6ヶ月以内)など | 案内に応じて郵送で提出(返却不可) | 遺産分割協議書・遺言書の有無、未成年相続人の有無などの申告事項 |
| 提出方法 | 郵送 | 郵送のみ(持ち込み不可) | フォーム提出後、書類を案内に応じて提出 |
| 処理期間の目安 | 明記なし | 1〜2ヶ月程度 | 明記なし(審査期間あり) |
| 資産の引き継ぎ方 | 原則、代表相続人の口座へ資産を移管(日本円のみの場合は振込も可) | 案内に応じて対応 | 案内に応じて対応 |
(2026年8月時点、各社公式サイト・FAQをもとに作成。手続きの詳細は変更される可能性があるため、実際に手続きを行う際は必ず各社の最新情報をご確認ください)
コインチェックの特徴
コインチェックは3社の中でも必要書類が比較的具体的に公開されており、「相続届」「連続戸籍謄本」「印鑑証明書」といった必要なものが事前にわかりやすい点が特徴です。遺言書の有無によって必要書類が変わるため、まずは問い合わせフォームから連絡し、自分のケースに必要な書類を確認するとよいでしょう。
ビットバンクの特徴
ビットバンクは、まず問い合わせフォームで連絡した後に、担当部署から個別に必要書類の案内がメールで届く流れです。処理には1〜2ヶ月程度かかることが明記されており、他の2社よりも見通しが立てやすい点はメリットといえます。ただし書類は返却されないため、原本を送る際は事前にコピーを取っておくと安心です。
ビットフライヤーの特徴
ビットフライヤーは電話でのお問い合わせを受け付けておらず、フォームからの連絡のみとなっています。被相続人の氏名・生年月日・死亡日、代表相続人との関係、遺産分割協議書や遺言書の有無、未成年相続人の有無といった情報をフォームに記入する必要があり、あらかじめ家族構成や書類の状況を整理しておくとスムーズです。
手続きを進めるうえで気をつけたいポイント
暗号資産の相続では、預金や株式にはない注意点もあります。
ログイン情報がわからないと手続きが難航しやすいという点は、暗号資産ならではの悩みです。取引所のアカウントのメールアドレスやパスワードが分からない場合でも、戸籍謄本など所定の書類を提出すれば相続手続き自体は進められますが、時間がかかりやすくなります。
複数の取引所に資産が分散していると、家族が把握しきれないケースがあることにも注意が必要です。生前のうちから「どの取引所にどのくらいの資産があるか」をエンディングノートなどに書き残しておくと、残されたご家族の負担を大きく減らせます。取引所の数を必要以上に増やさず、使っていない口座は解約しておくのも一つの考え方です。
なお、コインチェックとビットバンクの違い、ビットフライヤーとビットバンクの違いについては、それぞれの手数料やサービス内容を比較した記事もありますので、口座の整理を考える際の参考にしてみてください。
まとめ
暗号資産の相続手続きは、コインチェック・ビットバンク・ビットフライヤーのいずれも「問い合わせフォームからの連絡」がスタート地点になる点は共通していますが、必要書類の案内方法や処理期間には違いがあります。実際に手続きが必要になったときは、まず該当する取引所の公式サイトで最新の案内を確認することが大切です。
また、相続税の評価方法や申告については、この記事のような一般的な情報だけで判断せず、税理士など専門家に相談することをおすすめします。ご自身やご家族が暗号資産を保有している場合は、いざというときに困らないよう、保有状況を記録しておくことも検討してみてください。