こんにちは。今回は、2026年12月から始まるiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度改正についてまとめます。
今回の改正は、「毎月積み立てられる金額(掛金)の上限が大きく上がる」「70歳まで加入できるようになる」という2つが大きな柱です。特に、勤め先に企業年金がない会社員の方は、掛金の上限が月2.3万円から月6.2万円へと2.5倍以上に広がります。私自身も会社員として資産運用をしているので、この改正はかなりインパクトが大きいと感じています。
この記事では、改正の中身を初心者の方にもわかるように整理し、「結局自分はいくらまで積み立てられるのか」「何に気をつければいいのか」を解説します。
そもそもiDeCoとは?
iDeCo(イデコ)は、自分で毎月お金を出して、自分で選んだ商品(投資信託や定期預金など)で運用し、老後の資金をつくる「私的年金」の制度です。
最大の特徴は税制上の優遇です。
- 掛金が全額所得控除になる:積み立てた金額の分だけ、その年の所得税・住民税が安くなります
- 運用益が非課税:通常は利益に約20%かかる税金がかかりません
- 受け取るときも控除がある:一時金なら「退職所得控除」、年金形式なら「公的年金等控除」の対象になります
その代わり、原則として60歳まで引き出せないという制約があります。この点はNISAとの大きな違いなので、あとで改めて触れます。
iDeCo改正はいつから?
今回の改正は2026年12月分の掛金から適用されます。iDeCoの掛金は翌月に引き落とされるため、実際に新しい上限額で引き落とされるのは2027年1月26日の引落分からです。「iDeCo 2027年改正」と呼ばれることがあるのはこのためです。
掛金額の変更手続き(申請の受付)は、2026年12月1日から始まっています。すでにiDeCoに加入している方も、掛金を増やしたい場合は自分で変更手続きをする必要がある点に注意してください。自動的に増えるわけではありません。
変更点①:掛金の上限(拠出限度額)が引き上げ
「拠出限度額」とは、iDeCoに1ヶ月あたり積み立てられる金額の上限のことです。働き方によって上限が違い、今回の改正で次のように変わります。
| 働き方(加入区分) | 改正前(月額) | 改正後(月額) |
|---|---|---|
| 自営業・フリーランスなど(第1号被保険者) | 68,000円 | 75,000円 ※国民年金基金・付加保険料と合算 |
| 会社員(企業年金なし) | 23,000円 | 62,000円 |
| 会社員(企業年金あり)・公務員 | 最大20,000円 | 62,000円 −(企業型DCの事業主掛金+DBの他制度掛金相当額) |
| 専業主婦(夫)など(第3号被保険者) | 23,000円 | 23,000円(変更なし) |
| 60歳以上の国民年金任意加入者 | 68,000円 | 75,000円 ※国民年金基金・付加保険料と合算 |
一番大きく変わるのは、企業年金がない会社員の枠です。月2.3万円から月6.2万円へ、年間で見ると27.6万円から74.4万円まで積み立てられるようになります。
企業年金(企業型DC=企業型確定拠出年金、DB=確定給付企業年金)がある会社員・公務員の方は、「62,000円から会社の掛金などを引いた残り」がiDeCoの上限になります。会社の掛金が少ない人ほどiDeCoに回せる枠が大きくなる仕組みです。会社の掛金額は、勤め先の人事・総務担当や企業型DCの加入者サイトで確認できます。
ちなみに、企業型DCそのもののメリット・デメリットについては、以前こちらの記事でまとめています。
▶ 企業型確定拠出年金のメリット・デメリットをそれぞれ5つずつ紹介します
変更点②:70歳まで加入できるように
これまでiDeCoに加入できるのは、原則として国民年金の被保険者(多くの場合60歳未満、会社員なら65歳未満)に限られていました。改正後は、60歳以上70歳未満の方も、一定の条件を満たせば加入できるようになります。
対象となるのは、次のいずれかに当てはまり、かつ老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金をまだ受け取っていない方です。
- iDeCoの加入者、または運用指図者(掛金は出さず、運用だけ続けている人)
- 企業年金などからiDeCoへ資産を移す人
この区分での掛金の上限は、原則月62,000円です。たとえば50歳からiDeCoを始めた人でも、70歳まで最大20年間積み立てを続けられることになります。「始めるのが遅かったかも」と感じている方にとっては、うれしい改正ではないでしょうか。
ただし、一度でも老齢基礎年金などを受け取り始めると対象外になる点は覚えておきましょう。
節税効果はどれくらい変わる?
イメージをつかむために、企業年金のない会社員が上限いっぱいまで積み立てた場合を、ざっくり計算してみます(所得税10%・住民税10%の方を想定)。
- 改正前:月23,000円 × 12ヶ月 = 年276,000円 → 節税額 約55,200円/年
- 改正後:月62,000円 × 12ヶ月 = 年744,000円 → 節税額 約148,800円/年
所得控除の効果だけで、年間の節税額が約9万円以上増える計算です。実際の節税額は年収や扶養状況などで変わりますが、上限が広がることのインパクトは大きいといえます。
改正後もiDeCoで気をつけたいこと
上限が上がったからといって、無理に満額を積み立てる必要はありません。次の点を確認したうえで、自分に合った金額を決めましょう。
- 原則60歳まで引き出せない:教育費や住宅購入など、近いうちに使う予定のお金はiDeCoに入れないほうが安心です。いつでも引き出せるNISAと役割を分けて考えるのがおすすめです
- 元本割れの可能性がある:投資信託で運用する場合、市場の状況によっては積み立てた金額を下回ることがあります
- 手数料がかかる:国民年金基金連合会や信託銀行に支払う手数料は、どの金融機関でも一定額かかります。なお、改正にあわせて国民年金基金連合会の手数料は1回あたり105円から120円に引き上げられます
- 掛金の変更は自分で手続きが必要:すでに加入している方も、上限まで増やすには金融機関で変更手続きが必要です
これから始めるなら、金融機関選びが大切
iDeCoは一度始めると長く付き合う制度なので、金融機関選びはとても大切です。見ておきたいのは主に次の3点です。
- 金融機関に支払う運営管理手数料が無料かどうか
- 信託報酬(投資信託の保有コスト)が低い商品がそろっているか
- ポイント還元などのおまけがあるか
私が注目しているのが松井証券のiDeCoです。
- 運営管理手数料が0円:金融機関に支払う手数料は無料です
- iDeCoでも投信残高にポイントが貯まる:2024年8月から、iDeCoで保有する投資信託(定期預金を除く)の残高に応じて松井証券ポイントが貯まるサービスが始まっています。還元率は銘柄によって異なり、毎月のエントリーと、投信サイトでのiDeCo口座の連携が必要です
- 貯まったポイントは投資信託の購入のほか、dポイントやPayPayポイントなどに交換できます
iDeCoの掛金枠が広がるということは、それだけ保有残高も大きくなりやすいということです。残高に応じてポイントがもらえる仕組みは、改正後により活きてくると私は考えています。
▼松井証券のiDeCoについて詳しくはこちら
まとめ
2026年12月からのiDeCo改正のポイントをおさらいします。
- 2026年12月分の掛金(2027年1月26日引落分)から適用
- 企業年金のない会社員の上限は月2.3万円→月6.2万円に大幅アップ
- 自営業などは月6.8万円→月7.5万円(国民年金基金などと合算)
- 企業年金ありの会社員・公務員は「6.2万円−会社の掛金など」が上限に
- 条件を満たせば70歳まで加入できるように
「老後資金はNISAだけで考えていた」という方も、今回の改正をきっかけにiDeCoの活用を検討してみてはいかがでしょうか。ただし、原則60歳まで引き出せない点はしっかり押さえたうえで、無理のない金額から始めてみてください。
※本記事は2026年9月時点の公表情報(厚生労働省・国民年金基金連合会・各金融機関の公表資料)をもとに作成しています。最新の制度内容は必ず公式情報でご確認ください。